第8回(2019年度)アカデミア教育研究助成の決定

令和元年11月15日開催の理事会において、第8回(2019年度)アカデミア教育研究助成について選考を行った結果、次の2件に決定しました。

個人研究』
テーマ:「小規模校の学びの質を向上させる遠隔教育の導入・推進における一考察」
応募者:山口 小百合氏(鹿児島県阿久根市立尾崎小学校教頭)
【選考理由】
離島や山間部の小規模校は豊かな教育資源を有する一方で、地域格差、教育機会の平等、教育内容の専門性、学び方の多様性や協働性など、特有の教育課題を抱える。
本研究は、時間や距離・費用などの物理的制約をクリアできるWeb会議システムを活用した遠隔教育を導入し、小規模校の子供と教員の学びの質の向上を目的とする。また、遠隔合同授業の実践を重ねる中で、効果的に展開するための授業デザインの重要ポイントを明らかにし、自校だけでなく,地域全体・県全体のネットワークを構築し,限られた資源を有効活用し,人と人,学校と学校,アイデアとアイデアを結ぶSociety5.0に向けた新しい学校教育(授業・教員研修)を提案していく。
以上のように、離島や山間部の小規模校におけるWeb会議システムを活用した遠隔教育導入による教育課題改善の取組みは、特筆すべきものであり、アカデミア教育研究助成を授与するに相応しいと認めた。

『グループ研究』
テーマ: 「森里海連環学の学びを通して高津川流域の保全活動を考える~高津川流域3校連携の取り組み~」
応募者:島根県立津和野高等学校・益田高等学校・吉賀高等学校生物担当教諭グループ
(代表:島根県立津和野高等学校教諭 廣田 理史氏)
【選考理由】
過去に清流日本一になったことのある島根県高津川流域の高等学校の生物担当教員が連携し、「森里海連環学」の学びを取り入れ、【源流(森)域:吉賀高校】-【中流(里)域:】津和野高校】-【下流(海)域:益田高校】のそれぞれの地域性を活用し、かつ流域の全体像を見通した活動に取り組んでいる。
森里海それぞれの場でのフィールドワークを通して、森里海のつながりの意義を理解し、里の生活が森・海の環境保全の根幹であることを認識することにより、地域流域の環境保全のために責任のある行動ができるように実践している。
実践を通じ、上・中・下流域の場所ごとに異なる生態系の多様性を知ることで、流域全体を意識した環境保全の重要性、地域資源の豊かさを再認識するとともに、源流域の吉賀高校、里の津和野高校、海の益田高校の3校連携の活動が、流域の環境保全の大きな力となっている。
以上のように、島根県高津川流域の高等学校生物担当教員による森里海連環学の学びを取り入れた地域の環境保全に関する研究活動と実践は特筆すべきものであり、高等学校における環境教育に多大に貢献したものとして、アカデミア教育研究助成を授与するに相応しいと認めた。

 

 

 



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