私と一冊の本  脱楊(だつ・よう 専科優勝者)

皆さん、まず、こちらをご覧ください。
実は、これはある外国の本のタイトルを中国の漢字の当て字にしたものです。
私にとって、いい本は先生のようです。この先生は、知識だけでなく、生き方まで教えてくれます。
私が5歳の誕生日に、母から一冊の本をもらいました。表紙には雰囲気の変わった可愛い猫の絵が書いてありました。猫の大好きな私はすごく嬉しかったです。

「何の本だろう」と思いながら、ページをめくってみると、それはすごく面白いSFのストーリーを語る本でした。主人公は小学生で、あることを機会に未来から来たロボットに出会いました。この出会いのおかげで主人公はいろいろなことを知り、人間的にも少しずつ成長していくというストーリーです。

最初に読んだこの本は、もちろん中国語に翻訳されたものでした。実はそれは日本の本だと知り、ほかにもこんな面白い本を読んでみたいと思って、大学では日本語を専攻することにしました。最初は日本語には中国語と似たような漢字がたくさんあって、とても勉強しやすいだろうと思いましたが、実はそうでもありませんでした。確かに漢字は似ていますが、読み方がまったく違っていて、覚えるのが大変です。それ以上に難しいのは文法です。複雑な表現がいっぱいあって、理解しにくいことがたくさんあります。

「どうしよう!こんなに難しいとは思わなかったよ。見るだけで頭が痛くなる。先生はこの間、今後はもっと難しくなると言っていたし…、わたし、大丈夫かな」と悩んでいました。

ある日、思いがけないことが起こりました。道を歩いていた私は、走ってきたバイクにはねられ、三ヶ月も入院することになってしまいました。学校にも行けなくなり、勉強はどんどん遅れてしまいました。
「ただでさえ難しいのに、三ヶ月も遅れちゃったら、もう絶対ついていけないよ。どうして私だけがこんな目にあわなきゃならないの」と落ち込みました。

看病に来た母が「ほらほら、本でも読んで、元気出して。」と何冊かの本を持ってきてくれました。その中にあの本がありました。あの懐かしい表紙を見た瞬間に、私の心は温かくなりました。そして読み進めるうちに、本の中の言葉が次々と私の心を打ちました。

「どんなに勉強が遅れても、どんなに体が弱くても、君は宝石なんだよ。その宝石をあきらめずに磨いて磨いて、ピカピカにして見せてよ」
「いいじゃないか。遅れても、最後までがんばれ」
「一番いけないのは、自分なんか駄目だと思い込むことだよ」
「苦手なら、なおさら、ぶつかっていかなくちゃ」
そして、
「目が前向きについているのは前へ前へと進むためだ!振り返らないで、常に明日をめざして頑張りなさい。」
これらの言葉はまさに今の私に向かって言っているようでした。そうだ、自分が選んだ道だから、ちゃんと歩いて行かなくちゃ。途中で諦めたり、投げ出したりしちゃいけないな。そう考えると、私は再びやる気が出ました。
「前向きになろう」と心の中で叫びました。

病院での三ヶ月間、私は勉強することを諦めませんでした。毎日ちゃんと自分で教科書を読んで、分からないことは先生に聞くか友達に聞くことにしました。そして、学校に戻ったのはちょうど中間テストの時でした。テストの結果が出た時、皆が驚きました。私はクラスのトップ3に入っていたのです。
「えー、なんか秘密道具でも持っているんじゃないの?三ヶ月も来てないのに、トップ3だって?」とクラスメイトは不思議がっていました。
「もちろん持ってるよ。これだよ」とあの本を見せました。
皆さん、私を励ましてくれた本は一体何なのか、お分かりでしょう?
そうです!「ドラえもん」です!

この最初に皆さんにお見せしたのは、「ドラえもん」の中国語の名前です。
私に日本語を勉強するきっかけをくれた「ドラえもん」、落ち込んでいる私に進むべき道を指し示してくれた「ドラえもん」は、まさしく私の、先生なのです。


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