藤原勝紀氏【京都大学名誉教授、(公財)日本臨床心理士資格認定協会専務理事】文化・社会部門

 受賞年月

令和7年2月

受賞理由

長年にわたる臨床心理学に関する研究と実践並びに臨床心理士の養成及び全国的な指導体制づくりなど我が国における臨床心理学の発展に寄与

受賞者の経歴

【現在の主な職業】
京都大学名誉教授、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会専務理事
京都市教育相談総合センター常任顧問、一般社団法人日本心理臨床学会理事長

【学位
博士(教育心理学)

【学  歴】
1968年  3月 九州大学教育学部卒業
1970年  3月 九州大学大学院教育学研究科修士課程修了
1973年 3月 九州大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学

【経  歴】
1973年  4月 九州大学教養部講師
1978年  4月 九州大学教養部助教授
1989年  4年 九州大学教養部教授
1994年  4年 九州大学教授健康科学センター教授
1996年 12月 京都大学教育学部教授
1998年  4月 京都大学大学院教育学研究科教授
2000年  4月  京都大学大学院教育学研究科附属臨床教育実践研究センター教授
2003年 12月 京都大学大学院教育学研究科長・京都大学教育学部長併任(~2005年3月)
2004年  4月 京都大学大学院教育学研究科教授
2008年  3月 京都大学定年退職
2008年  4年 京都大学名誉教授
【法人歴等】
1988年 11月 日本心理臨床学会理事(~1991年10月)
1997年 11月 日本心理臨床学会理事(~2003年11月)
2004年  8月 財団法人日本臨床心理士資格認定協会理事(~2006年7月)
2006年  8月 財団法人日本臨床心理士資格認定協会常任理事(~2015年6月)
2006年 11月 日本心理臨床学会常任理事(~2012年5月)
2008年  4月 放送大学京都学習センター所長(~2015年3月)
2011年 10月 日本臨床心理士養成大学院協議会顧問(~現在)
2012年  4月 公益財団法人世界人権問題研究センター理事(~現在)
2015年  6月 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会専務理事(~現在)
2016年  3月 一般財団法人日本心理研修センター理事(~現在)
2019年  4月 大阪樟蔭女子大学客員教授(~現在)
2020年  7月 一般社団法人日本心理臨床学会理事長(~現在)
【地方教育委員会等歴】
1999年 12月 京都市児童生徒登校支援連携会議顧問(~現在)
2003年  6月 三重県教育委員会事務局教育相談専門委員(~現在)
2006年 12月 京都市教育委員会委員(~2014年12月)
2008年 12月 京都市教育委員会委員長(~2014年12月)
2015年  4月 京都市教育相談総合センター常任顧問(~現在)

過去における表彰
2014年 10月 地方教育行政功労者表彰
2015年 11月 京都市教育功労者表彰
2017年  5月 一般社団法人日本心理臨床学会学会賞
2023年  4月 瑞宝中綬章

 主要著書・論文等

【著書】
・『三角形イメージ体験法に関する臨床心理学的研究―その創案と展開―』九州大学出版会.1994.
・『三角形イメージ体験法―イメージを大切にする心理臨床―』誠信書房.2001.
・『からだ体験モードで学ぶカウンセリング 』ナカニシヤ出版.2003.
【編著】
・栗山一八・藤原勝紀編『催眠療法(講座心理療法5) 』福村出版.1977.
・河合隼雄・藤原勝紀編『学生相談と心理臨床』金子書房.1998.
・藤原勝紀編『イメージ療法』至文堂、「座談会 イメージ療法を考える」(水島恵一・成瀬悟策・藤原勝紀).1899.
・藤原勝紀編 『臨床心理スーパーヴィジョン』至文堂「座談会 臨床心理スーパーヴィジョンを考える」(河合隼雄・成瀬悟策・藤原勝紀).2005.
・藤原勝紀編『教育心理臨床パラダイム』至文堂「座談会 教育支援における学校臨床心理士の意義を考える」(大塚義孝・村山正治・滝口俊子・藤原勝紀).2008.
・藤原勝紀・皆藤章・田中康裕共編『心理臨床における臨床イメージ体験』創元社.2008.
・藤原勝紀監修『こころを見つめる養護教諭たち』ミネルヴァ書房.2012.
【著書(分担執筆)】
・佐治守夫・水島恵一編『心理療法の基礎知識』有斐閣「第三章 イメージ感応法」「象徴減感法」「自律訓練法」「自己コントロール」80p.81p.83p.84p.1977.
・佐久間章・安藤延男編『人間行動の心理学的考察』アカデミア出版会「第Ⅶ章 適応・不適応の心理」171-196p.1978.
・遠藤辰雄編『アイデンテイティの心理学』ナカニシヤ出版「学生生活と同一性問題」「神経症」184-201p、236-250p.1981.
・水島恵一・小川捷之編『イメージの臨床心理学』誠信書房「第Ⅲ章 三角形イメージ療法」60-70p.1984.
・安藤延男編『学校社会のストレス』垣内出版「第Ⅴ章 登校拒否をめぐる治療・援助の展開」137-158p.1985.
・前田重治編『カウンセリング入門』有斐閣「第Ⅲ章 登校拒否の理解と面接の進め方」155-177p.1986.
・内山喜久雄・上里一郎編『新看護心理学』ナカニシヤ出版「第一三章 援助としてのカウンセリング」173-196p.1989.
・伊藤隆二編『心理治療法ハンドブック』福村出版「第三六章 催眠療法」768-825p.1989.
・小川捷之・鑢幹八郎・本明寛編『臨床心理学大系一三巻』金子書房「第Ⅳ章・面接方」133-144p.1990.
・安藤延男・村山正治編『キャンパスライフと学生相談』至文堂「座談会 キャンパスライフと学生相談の役割」5-30p.1991.
・氏原寛・東山紘久編『カウンセリング入門』ミネルヴァ書房「第Ⅱ章 カウンセリングで出来ること・出来ないこと」11-19p.1992.
・『こころの時代の家庭の教育』広池学園出版部「生涯学習と家庭の教育力」(アグネス・チャン・細川幹夫共著)42-65p.1992.
・氏原寛他編『心理臨床大事典』培風館「第一部三 臨床心理学の方法論」「第三部三‐一六 催眠療法・暗示療法」「三‐四四 三角イメージ療法」13-17p.322-327p.398-399p.1992.
・氏原寛・東山紘久編『カウンセリング事例集』ミネルヴァ書房「第II章 三角形イメージ体験法を用いた面接事例-主に身体感党的なイメージ体験をめぐって-」150-158p.1994.
・岡田康伸・鑢幹八郎他編『臨床心理学大系一八巻』金子書房、「心理臨床に関する研究」6-10p.2000.
・岡田康伸編『箱庭療法の本質と周辺』至文堂「臨床イメージ法と箱庭」126-141p.2002.
・一丸藤太郎・栗原和彦編『レクチャー心理臨床入門』創元社「第二章 臨床心理学における研究法」49-80p.2005.
・総編集坂田三允『精神科看護エクスペール一三 精神科看護と関連技法』中山書店「第二章一六 イメージ療法」167-175p.2005.

・『心理臨床の眼差』(河合隼雄・大塚義孝・成田善弘・藤原勝紀・氏原寛著)「こころを大切にする人間関係」新曜社 105-135p.2006.
・財団法人日本臨床心理士資格認定協会監修『新・臨床心理士になるために』(平成19年度版)誠信書房「II 専門教育・資格試験・専門業務」11-43p.2007.
・(財)日本臨床心理士資格認定協会編『臨床心理士の歩みと展望』誠信書房 .第Ⅱ部「超高齢社会と臨床心理士」(シンポジウム載録)138-215p. 2008.
・『臨床心理士の基礎研修』日本臨床心理士会 「第7章 臨床心理士として生きる」163-173. 2009.
・神田橋條治著『どこにいこうか、心理療法』創元社「序」1-4.2022.
【学術論文】
・「行動療法における象徴的減感作(Symbolic Desensitization) について」(成瀬悟策共著)九州大学教育学部紀要第17巻1号17-24p.1973.
・「社会的役割変化による女性同一性障害に関するカウンセリング-精神病院における治療的アプローチから‐」相談学研究7巻1号11-17p.1973.
・「『窮地』としての状況に関する臨床心理学的考察」(前田重治共著)九州大学教育学部紀要第18巻1号1-10p.1974.
・「『窮地』としての状況に関する臨床心理学的考察-ある強迫者に対する治療的接近を中心にして-」(前田重治共著)九州大学教育学部紀要第18巻2号13-25p.1974.
・「象徴的減感法 『行動療法』」(催眠シンポジアムⅥ)成瀬悟策編 誠信書房86-104p.1975.
・「治療場面における変化の臨床的意義-ある鍼黙児の遊戯治療から-」心理臨床研究(九州大学教育学部心理教育相談室紀要)第1号79-87p.1975.
・「象徴的減感法のイメイジ統制による恐怖症の一治験例」精神医学第18巻8号71-77p. 1976.
・「青年期後期に関する臨床心理学的考察-ある学生とのリハビリテイション・カウンセリングから-」九州大学保健紀要第4巻19-29p.1976.
・「象徴的減感法の治療方法的意義-三角形イメージ課題によるある臨床的現象をめぐって-」テオリア(九州大学教養部紀要)第19号85-110p.1976.
・「大学カウンセリングにおけるクライエントの訴えの変遷」(浜田哲郎共著)テオリア(九州大学教養部紀要)第20号33-57p.1977.
・「象徴的減感法におけるイメイジ課題に関する臨床的考察-三種の指定イメイジ課題によるイメイジ現象をめぐって-」テオリア(九州大学教養部紀要)第21号63-87p.1979.
・「イメージ感応法」佐治守夫・河合隼雄・成瀬悟策編『ケース研究Ⅱ』(誠信書房)63-78p.1979.
・「幾何学図形イメージ」成瀬悟策編『心理療法におけるイメージ』誠信書房87-110p.1980.
・「三角形イメージ体験法」成瀬悟策編『イメージ療法』誠信書房38-68p.1980.
・「三角形イメージ体験法-治療的接近が困難なイメージ態度の要因をめぐる臨床的現象-」成瀬悟策編『イメージ療法』誠信書房282-317p.1980.
・「三角形イメージ体験法におけるイメージ共感現象」催眠学研究第24巻1号13-19p.1980.
・「三角形イメージ体験法における治療的意味付与」催眠学研究第27巻1・2号50-55p.1983.
・「個別的カウンセリング過程とコミュニティ-ある学生Mの事例を中心にして-」山本和郎編
『コミュニティ心理学の実際』新曜社40-60p.1984.
・「臨床における『手応え』-精神病圏事例のカウンセリングから-]カウンセリング学科論集(九州大学教養部紀要)1号77-97p.85.
・「Image Communicationに関する実験的研究」催眠学研究第29巻1・2号13-24p.985.
・「臨床における『自己への手応え』-過去がしっくりおさまること-」カウンセリング学科論集2号43-69p.1986.・Symbolic Desennsitization(a coauther;G.Naruse) Psychologia -An International Journal of Psychology in the Orient- Vol.30,No.3,145-151.1987.
・「三角形イメージ体験法に関する臨床心理学的研究-その創案と展開-」(博士論文)九州大学教育学部1992.
・「学生相談担当者による授業の固有性について-講義『人間関係の科学』に関する学生による評価から-」カウンセリング・リポート第6巻19-33p.1994.
・「全学共通教育における少人数教育の在り方について-11年間の「教養部ゼミナール」授業経験から-」大学教育(九州大学大学教育研究センター紀要)第1号3-19p.1995.
・「心理臨床における面接関係のゆくえ-ある精神病圏事例との長期面接経過から-」カウンセリング学論集(九州大学六本松地区紀要)第9号54-92p.1995.
・大学生自身がみた現代学生像について-『学際主題ゼミナール』の授業経験から-カウンセリング・リポート(九州大学六本松地区紀要)第7巻23-51p.1995.
・「全学共通教育の一環としての学生相談-九州大学六本松地区カウンセリング・ルームの活動から」大学教育(九州大学大学教育研究センター紀要)第2号83-98p.1996.
・「関係性に生きる心理臨床」氏原寛・成田善弘編『転移・逆転移』人文書院131-153p.1997.
・「面接体験からみたこれらからの学生相談像」カウンセリング・リポート(九州大学六本松地区紀要)第9巻3-18p.1997.
・「学校カウンセラーの養成と課題」高橋良幸編『「学校」教育の心理学』川島書店124-136p. 1998.
・「心理臨床における関係性の体験からみた共感と解釈」成田善弘・氏原寛編『共感・解釈』人文書院31-53p.1999.
・「心理臨床家の養成をめぐる課題-心理臨床指導に関する実践研究と臨床実践指導者の養成-」京都大学教育学研究科附属臨床教育実践研究センター紀要第3号77-86p.2000.
・「日本における臨床心理学の独自性」下山睛彦・丹野義彦編『臨床心理学』第1巻 東京大学出版会 99-119p.2001.
・「臨床心理士養成に関する臨床実践研究課題の焦点」京都大学大学院教育学研究科附属臨床教育実践研究センター紀要第6号29-40p.2003
・「事例研究法」丹野義彦編臨床心理学全書第5巻『臨床心理学の研究法』誠信書房20-64p.2004
・「臨床心理学における援助論」大塚義孝編 臨床心理学全書第1巻『臨床心理学原論』誠信書房235-278p.2004.
・「臨床心理士義成大学院の教育研究体制と臨床実践指導分野の新しい展開」京都大学教育学研究科附属臨床教育実践研究センター紀要第7号、27-36p.2004.
・「意識・無意識から心理臨床の知を考える:主に臨床イメージを見つめる観点から」氏原寛・成田善弘編『意識・無意識』人文書院145-168p.2006.
・「パラドックスの心理臨床学-三角形イメージ体験法をメタファーとして」(京都大学最終講義をもとに)「創造の臨床事例研究」第5号5-25p.2008.
・「臨床イメージと創造の心理臨床」藤原勝紀・皆藤章・田中康裕編『心理臨床における臨床イメージ体験』創元社13-26p.2008.
・「心理臨床学研究の現在」心理臨床学研究(第30巻1号) 1-4p.2012.
【総説】
・「受験生の精神衛生」教育と医学第23巻10号72-79p.1975.
・「いわゆる五月危機の青年期的意義」教育と医学」第25巻5号57-67p.1977.
・「受験生の悩みの日々」青年心理9号81-87p.1978.
・「ある少年の家庭内暴力にみるきょうだい関係の意味」教育と医学第27巻7号 64-71p. 1979.
・「意味と意味づけ」 佐治守夫・河合隼雄・成瀬悟策編『心理臨床ケース研究Ⅲ』誠信書房205-208p.1980.
・「学園の混乱と平穏-学生カウンセリングから-」メンタルヘルス福岡第2号11-18p.1981.
・「『三角形イメージ体験法』からみたイメージをめぐる諸問題」催眠学研究第26巻1・2 号15-17p.1982.
・「カウンセリングとイメージの世界」教育と医学第31巻1号57-67p.1983.
・「思春期・青年期の反抗」教育と医学第33巻1号34-41p.1985.
・「登校拒否」教育と医学第34巻5号31-36p.1986.
・「大学生を通してみたしつけの移り変り」教育と医学第36巻1号50-58p.1988.
・「よい子の過適応」教育と医学第36巻4号73-79p.1988.
・「ストレスに強い子・弱い子」教育心理第36巻6号24-27p.1988.
・「イメージ面接」水島恵一編『イメージの心理とセラピー』至文堂 第275号83-92p.1990.
・「心理臨床からみた中年の問題」中年の発達心理学(河合隼雄他共著)教育心理学年報4-5p.1990.
・「大学でのカウンセラーとして」教育と医学第39巻5号63-69p.1991.
・「子どもと都市環境-心にやさしい街づくり-」都市科学(福岡市都市科学研究所)第13巻7-16p. 1992.
・「登校拒否の理解」カウンセリング学科論集(九州大学教養部紀要)第6号1-29p.1992.
・「学校不適応問題と保健室の役割」生徒指導第22巻28号70-77p.1992.
・「教育指導における学生相談的機能」カウンセリング・リポート(九州大学教養部紀要)第5巻21-49p.1993.
・「心理臨床からみた中年期」発達第54巻14号10-19p.1993.
・「スクール・カウンセリングの現状と課題」教育と医学第41巻6号4-11p.1993.
・「心理臨床家と社会的スタンス」九臨心・20年(第20回九州臨床心理学会)16-66p.1993.
・「これからの学生相談像を求めて-事例性中心の学生相談モデルの提案-」カウンセリング学科論集(九州大学教養部紀要)第8号3-13p.1994.
・「大学生を通してみた『しつけ』の現況-アンケート調査からみた移り変り-」カウンセリング学論集(九州大学六本松地区紀要)第9号1-13p.1995.
・「カウンセリングとカウンセリング・マインド」教育と医学(慶応通信)第43巻5号4-11p.1995.
・「心理臨床面接の基礎-心理臨床面接を学ぶ視点-」カウンセリング学論集(九州大学六本松地区紀要)第10号1-21p.1996.
・「大学改革と学生相談-教養部廃止に伴う諸事情から-」カウンセリング・リポート(九州大学六本松地区紀要)第8巻23-30p.1996.
・「スクールカウンセリングの展望と課題-こころの問題としての教育状況をみつめて-」教育と医学第44巻4号4-11p.1996.
・「子どもの問題行動にどう対応するか-教師はどう対応するか-」児童心理『問題行動の理解と援助』臨時増刊664号4-11p.1996.
・「都市化の中の青少年」都市科学(福岡市都市科学研究所)第31巻7-17p.1997.
・「いま、学校心理臨床に求められるもの」教育と医学第46巻3号4-12p.1998.
・「スクール・カウンセリングの体制づくりと今後の課題」保健の科学第40巻11号864-868p. 1998.
・「心理臨床の将来とセンターの役割」京都大学大学院教育学研究科附属臨床教育実践研究センター紀要第2号3-17p.1998.
・「臨床実践指導研究の課題と方向性」京都大学教育学研究科附属臨床教育実践研究センター紀要第4号60-70p.2001.
・「変わってきた子どもへの対応-こころのこととして-」信濃教育第1347号4-11p.2001.
・「臨床心理士の養成に関する教育システムの課題と展望」臨床心理士報第13巻特別9-45p. 2001.
・「子どもの心を育む人間関係-家庭・地域・学校の連携を求めて-」教委連だより(139号)京都府市町村教育委員会連合会1-0p.2001.
・「ユーザーのための心理面接 臨床心理士資格を新しく取得された方々のために-第一回新規資格取得者研修会から-」日本臨床心理士会8-13p.2001.
・「スクールカウンセラーと担任教師・養護教諭との連携」松原達哉編『教職研修』特別増刊号24-34p.2002.
・「臨床心理士指導者養成の課題と大学院」臨床心理士報第14巻2号(25号)18―21p.2003.
・「イメージ心理学研究の拡がり(第一回大会シンポジウム記録)」長谷川浩一・藤原勝紀・宮崎清孝・菱谷晋介・大山正)イメージ心理学研究第1巻1号25-47p.2003.
・「指定大学院と教育指導体制の在り方」臨床心理士報第27号10-13p.2004.
・「心を育む人間関係」佐久教育第39号8-25p.2004.
・「創造の臨床事例研究-研究会に臨場して、いつものごとく連想を紡ぐように-」創造の臨床事例研究(藤原勝紀編集)創刊号1-8p.2005.
・「臨床実践体験が息づく心理臨床研究の模索」創造の臨床事例研究(藤原勝紀編)2号1-8p. 2006.
・「臨床実践指導学の基盤をみつめて-序文にかえて-」『臨床実践指導に関する授業の場と体験を考える』(京都大学教育学研究科臨床実践指導学講座編)1-4p.2006.
・「臨床心理士と新しい臨床実践の視点」遺伝カウンセリング学会誌第25巻5号55-60p.2006.
・「クライエントに生身で学ぶ面接契約の不思議」精神療法第34巻1号111-113p.2008.
・「臨床心理士の基本姿勢について」(講演載録)愛知県臨床心理士会ニュースレター第19号3-21p. 2008.
・「臨床心理実践指導をめぐって-ベテランの立場に求められるもの-」ベテラン臨床心理士のために(日本臨床心理士会)1-11p.2009.
・「イメージを生きる心理臨床」心理臨床の広場(日本心理臨床学会編)第2巻2号(4)14-15p.2010.
・「臨床心理学、この30年で得たもの」(日本心理臨床学会第29回大会企画シンポジウム話題提供録)「創造の臨床事例研究」第7号1-12p.2011.
・(財)日本臨床心理士資格認定協会による私学スクールカウンセラー事業 臨床心理学増刊第3号41-45p.2011.
・「なにを求めて心理臨床」創造の臨床事例研究第8号1-7p.2012.
・「心理臨床アラカルト-悩み・関わり・自我の力・〈私〉の創造-」(特別講義記録:冊子29p.)放送大学京都学習センター2015.
・「こどもの育ちに心理臨床の知恵を活かす~私たちの見方、考え方の再点検~」仁愛大学附属心理臨床センター紀要第11号1-18p.2016.
・「臨床心理専門職大学院教育再考」(講演録)帝塚山学院大学大学院心理教育相談センター紀要第16号3-16p.2019.
・「『心の専門家』に求められること-特集にあたって-」『会誌AKADEMIA』No.174 1-5p.2019.
・「特別寄稿 日本における心理臨床の未来を語る」心理臨床学研究第38巻第5号77-387p.2020.
・「特別寄稿 心理臨床と学会の〈いま・ここ〉・未来」心理臨床学研究第39巻第5号90-395p. 2021.
・「かけがえのない『こころ・命』を生きる現代の人間関係再考」研究紀要(大阪樟蔭女子大学附属カウンセリングセンター)第16号3-15p.2022.
・心理臨床を学ぶ-Vol.4 心理療法・カウンセリング-(DVD)医学映像教育センター.2014.
・「こころ・いのちに応える人間関係-コロナ危機にみつめ考える-」『会誌AKADEMIA』No.189 1-7p.2022.
・「臨床心理士のアイデンティティーに基づいた心理臨床実践について」(臨床心理学専攻開設20周年記念基調講演)福岡女学院大学大学院臨床心理学紀要第20号1-6p.2023.
・「心理臨床学の新たな多様性を拓くために」心理臨床学研究第41巻12号1319-1324p. 2023.
・臨床心理士の動向-チーム連携に寄与する臨床心理士をめざして-」総合リハビリテーション第51巻12号1329-1324p.2023.
【翻訳】
・第六章 人間性の見方(マイケル・ スクリブン)T.W. ワン著 村山正治編訳『行動主義と現象学』岩崎学術出版社 239-278p.1980.
・第一章 病いと癒しのプロセスにおける想像力-歴史的概観-アニーズ.A.シェイク著成瀬悟策監訳『イメージ療法ハンドブック』誠信書房1-44p.2003.

業  績 

氏は、永年に亘って、臨床心理学その展開としての心理臨床学の研究に努め、加えてその実践活動である心理臨床(心理療法・カウンセリング)の経験を積み重ねてきた。
研究面において、とりわけイメージ体験に関する研究は我が国におけるパイオニアとして常に学界を牽引しており、特筆すべき貢献である。博士学位論文にまとめられた『三角形イメージ体験法に関する臨床心理学的研究-その創案と展開』(九州大学出版会)は、この領域においてきわめて高い評価を受けたのみならず、我が国における心理臨床学草創期の研究者・実践家のまなざしに触れることのできる傑出した書物と言うことができる。さらに氏は、臨床イメージ体験に関する研究をより実践的に発展させ、『三角形イメージ体験法-イメージを大切にする心理臨床』(誠信書房)、『からだ体験モードで学ぶカウンセリング』(ナカニシヤ出版)をそれぞれ上梓した。臨床イメージ体験に関するこれら一連の研究は、研究と実践が不可分である心理臨床学の学としての特徴を鮮やかに描き出したものであり、またその筆致も緻密である。また、これらの研究が高く評価され、平成29年5月には心理臨床学の中核学会である「(一般社団法人)日本心理臨床学会」から学会賞を授与されている。
これらの研究が意味する今ひとつのところは、氏が我が国における臨床心理学の開拓者のひとりであるという点にある。我が国における臨床心理学の歴史は浅く、その真の意味での定着は21世紀を待たねばならなかった。そこに到る過程には、九州大学を中心とする研究・実践と京都大学を中心とする研究・実践の大きくはふたつの流れがあった。氏はまず九州大学において、主として精神分析の研究・実践に携わり、臨床心理学の領域における実践研究の端緒となった催眠研究に携わり心理学界における不動の地位を築いていった。我が国における臨床心理学が学として定着の道を歩む嚆矢となった「日本心理臨床学会」の設立は昭和57年のことであるが、氏は、九州大学在職中、30代の若さでその学会の設立に尽力した。
九州大学在職中における研究は、氏の学問的基盤の特徴を際立たせるものである。それは身体および心身の不可分性への着目であった。一般に臨床心理学は人間の心(精神)を研究対象とすると理解されているが、真の意味での臨床心理学は、心(精神)も身体も合わせもった全一の存在としての人間を研究・実践の対象とするものである。氏は、その研究の端緒が催眠であったことからも了解できるように、当初から心(精神)と身体の不可分性に並外れた関心を抱いていた。これは、精神分析の創始者フロイトがその実践から導いた根本思想とも通底する。この意味で氏は、我が国における精神分析さらには臨床心理学を、人間存在の探究の学として正当に評価し、一貫してこの視座から研究・実践を遂行・展開してきたと言うことができる。
京都大学においては、臨床心理学の真の意味での学問としての体系化に取り組み、その過程において多くの研究者・心理臨床家を養成・輩出してきた。京都大学大学院教育学研究科附属臨床教育実践研究センターの設立に当たっては、心理臨床学の学問としての体系化の立場から、先頭を切って最大級の貢献を成し、故河合隼雄京都大学名誉教授・文化功労者が築き上げた京都大学の心理臨床学を、常に学界を牽引する不動の地位に定着させた。このように氏は、九州大学から京都大学へと、臨床心理学その展開としての心理臨床学の我が国における発展・定着の道筋を文字通り歩んだ開拓者として位置づけることができる。
氏は、このような学界における貢献に留まらず、心理臨床学の実践活動・心理臨床にもとりわけ大きな貢献を成してきた。それは、心の専門家である「臨床心理士」の活動に対する体制化・制度化である。臨床心理士の資格認定制度は、遡ること昭和23年にすでに衆・参両議会において「カウンセラー設置に関する建議」として国会決議がなされていたが、諸般の事情により制度化は実現していなかった。しかし、昭和63年に心理学関連諸学会の協賛を得て「日本臨床心理士資格認定協会」が設立発足し、心の専門家の資格制度化の実現を見るに至った。氏は粉骨砕身して、その制度化に当たった。日本臨床心理士資格認定協会は、設立2年後の平成2年に文部科学省が認可する財団法人となり、同25年4月には内閣府認可の公益財団法人に移行し現在に至っているが、その間、平成7年の文部省(現:文部科学省)による新規事業「スクールカウンセラー活用調査研究委託」に参入し活動したことにより臨床心理士の社会的認知を得、また同年に発生した阪神・淡路大震災における被災者に対する心理的支援活動によってその認知がさらに高まり、明確な社会的要請を得た。氏は、この発展に大きな貢献を成した。また氏は、臨床心理士の職能団体である「日本臨床心理士会」の平成元年の設立にも尽力した。
このように氏は、臨床心理学その展開としての心理臨床学における研究と実践の不可分性という特徴を、文字通り自身の研究・実践両面において一貫して歩んできた。
また、平成16年、臨床心理士有資格者を臨床心理士の指導者として教育するための「臨床実践指導者養成コース」が我が国で初めて京都大学に設置されたが、氏はこの設置に当たって京都大学大学院教育学研究科長の立場から中心的役割を担い、設置後は本コース講座である「臨床実践指導学講座」の教授として幾多の臨床実践指導者(スーパーヴァイザー)を育成してきた。また、この領域における先駆的書物である『臨床心理スーパーヴィジョン』(至文堂)を上梓し、我が国における臨床実践指導者養成の先駆者として斯界を牽引してきた。
氏は、学界・社会における活動においても多大な貢献を成してきたが、それはとりわけ京都大学定年退職後に際立っている。平成24年4月には「(公益財団法人)世界人権問題研究センター」理事に就任し現在に至っている。平成27年6月には、自ら臨床心理士の制度化に尽力してその設立を見、その後の発展に粉骨砕身した「(公益財団法人)日本臨床心理士資格認定協会」の専務理事に就任し、現在も臨床心理士の資格認定の中心的存在として携わっている。平成28年3月には、心理職の国家資格「公認心理師」の指定試験・登録機関である「(一般財団法人)日本心理研修センター」の理事に就任し現在に至っている。さらにまた、自らもその設立に尽力した「(一般社団法人)日本心理臨床学会」においては、昭和63年11月から平成3年10月、平成9年11月から同15年11月には理事、平成18年11月から平成24年5月には常任理事の役職を歴任し、令和2年7月より理事長となり我が国の心理臨床学を学問研究の見地から牽引し、現在に至っている。
また氏は、諸高等教育機関における理事・評議員は言うに及ばず、心理臨床学の実践活動における教育相談の領域においても顕著な貢献を成している。平成15年6月からは三重県教育委員会事務局教育相談専門委員に就任し、教育行政に関与すると共に、臨床実践指導者として三重県下における教育相談を飛躍的に向上させ、現在に至っている。平成18年12月には京都市教育委員会委員に就任し、平成20年12月からは同委員会委員長として辣腕を振るい、市民ぐるみ・地域ぐるみの教育改革を推進すると共に、心理臨床学の高い専門性と豊かな見識に基づいて同市教育相談の拠点である「教育相談総合センター」開設の中心的役割を担った。この活動が認められ、平成26年10月には地方教育行政功労者、平成27年11月には京都市教育功労者としてその功労を顕彰されている。平成25年10月には天皇皇后両陛下御催しの園遊会(宮内庁)のお招きに与った。
以上のように、氏は我が国における心理臨床学の創設・発展にきわめて重要な役割を担って尽力し、かつまた臨床心理士の制度化・体制化においても余人をもって代え難い貢献を成しており、その功績には多大なものがある。

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