令和2年11月27日開催の理事会において、第9回(2020年度)アカデミア教育研究助成の選考を行い、次の2件に決定しました。
『グループ研究』
テーマ:「児童生徒一人一人を伸ばす授業づくりを目指して~物理的支援環境及び人的支援環境を活かした授業づくり~」
応募者:鹿児島県立指宿養護学校 学校主題研究(テーマ研修)係
【選考理由】
同校は、昭和50年に隣接する現独立法人国立病院機構指宿医療センターに長期入院を必要とする小・中学生を対象にした病弱養護学校としてスタートした。平成14年からは肢体不自由児の受入れ、平成17年からは知的障害児童生徒の自宅通学制度を導入、平成21年度に高等部が設置された。現在は、指宿地区の特別支援学校として「知的障害」「肢体不自由」「病弱」の3障害を受け入れ、今年度は、小学部39人、中学部19人、高等部27人の計85人の児童生徒が在籍している。
同校では児童生徒・保護者の願いや思いを受け止め、社会参加と自立に向けて健康状態の回復や改善を図り、それに必要な基本的習慣・態度を養うこと、情緒の安定を図ること、学力の維持・向上を図り、適切な進路を選択する能力を養うなど、一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細やかな教育活動を展開している。この教育方針に沿って、過去の研究成果から「伸ばす=児童生徒の主体性」と捉え、「児童生徒の主体性を育む授業づくり」を主題として、「物理的支援環境」、「人的支援環境」をキーワードに各学部、年度毎に課題を設定し、教育改善に取り組んだ。物理的支援環境では、主にハード面の整備、具体的には、場の設定の工夫、教材・教具の開発、教師と生徒の動線確保の整理等、人的支援環境では、教師間の連携、教師と生徒の関係、児童生徒同士の関係の3つの視点で教材開発・整理に取り組み、児童生徒の自立に向けた授業改善に成果を挙げた。
以上のように、鹿児島県立指宿養護学校 学校主題研究(テーマ研修)係による児童生徒一人一人を伸ばす授業づくりを目指す研究活動と実践は、養護学校における児童生徒の自立に向けた授業改善に指針を与えるものとして、アカデミア教育研究助成を授与するに相応しいものと認めた。