本会は、来る7月20日(土)午後1時から、京都大学文学部講義室において、本会主催の
2013年公開シンポジュウム「東日本大震災後の復興の今を語る」を開催いたします。
私たちは、大震災後2年数カ月が経過しても今なお復興は遅々として進まず、そればかりか、未だに仮設住宅で先の見えない日々を送らざるを得ない多くの皆さん方の心労はいっそう深刻化している現実に心を痛めております。
一方、大震災の多くの教訓を噛みしめながら歩まなければならないとの国民の思いとは裏腹に、国は早くも原子力発電技術のトップセールスに奔走し、これから極めて広域的に広がった放射性物資が中長期的に子供たちの心身に深刻な影響を及ぼすことが危惧されることを忘れ去ろうとするかのような現実の進行に愕然としております。
また、宮城県に典型的に見られるように自治体では、三陸リアスの海に生きる地域住民の意思や希望に関係なく、「10mでだめなら15mと」と言わんばかりに巨大なコンクリートの防潮堤をほとんどすべての浜に張り巡らせる計画が進められています。このような構造物が東北太平洋沿岸400kmにわたって張りめぐらされれば、豊饒の海三陸の未来に深刻な影響が出ることは明らかだと思われます。
東北から遠く離れた京都において、震災後の時間の経過とともに大震災を国民全体が自らの問題としてとらえる意識が次第に風化しつつある中、今一度この日本の行く末を大きく左右する国民的課題の本質を見つめ直し、今何をすべきかを考える機会としてシンポジュウムを企画いたしました。
本シンポジュウムの最大の特色は、この2年数カ月間さまざまな現場で被災の現実に向き合い、困難を明日の扉を拓く原動力に変えるべく取り組まれてこられた多彩なパネリストの皆さんより思いのあふれた話題を提供していただけることにあると考えております。
多数の方々の参加をお待ちいたしております。
2013年公開シンポジュウム「東日本大震災後の復興の今を語る」
【企画立案者】
京都大学名誉教授・(財)国際高等研究所チーフリサーチフェロー 田中 克
社団法人全国日本学士会事務局長 岡田和男