平成30年11月16日開催の理事会において、平成30年度アカデミア賞受賞者を次のとおり決定しました。
授賞式は、平成31年2月8日(金)午前10時から、新都ホテル「陽明殿」(京都駅八条口)にて執り行います。
また、当日11時から受賞者の記念講演、午後1時から祝賀会を行います。
【文化・社会部門】
氏 名:内藤 正明氏
現 職:滋賀県琵琶湖環境科学研究センター長、京都大学名誉教授他
授賞理由:同氏は、我が国の環境問題のパイオニアとして、新たな学問分野「環境システム学」を提唱・構築し環境研究を先導するとともに、地域環境計画の策定、循環共生社会・持続可能社会形成に関する環境行政に携わるなど、地域環境問題の指導的役割を果たしている。
また、国立公害研究所(後の国立環境研究所)、京都大学大学院地球環境学堂・学舎、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター及び環境関係のNPO法人等、地球環境問題関連組織の創設・発展の中心的存在としてその実現に貢献するなど、我が国の環境問題の第一人者として高く評価されている。
以上のように、同氏の環境問題に関連する顕著な業績、並びに高い人格、識見を鑑みて、アカデミア賞を授与するに相応しい人物と認めた。
なお、同氏の功績が文化及び社会の両部門に及んでいるところから、文化・社会部門での選出とした。
【社会部門】
氏 名:野中 ともよ氏
現 職:NPO法人 ガイア・イニシアティブ 代表理事、元三洋電機㈱代表取締役会長他
授賞理由:同氏は、地球環境問題解決を幅広いステークホルダー(企業、市民、政府、NPO)に呼びかけ、続く世代の幸せを願い、1970年代にイギリスのジェームズ・ラブロックが提唱した「ガイア理論」の普及とその目指す世界を実現するために、NPO法人「ガイア・イニシアティブ」を2007年に立上げた。現在、地球のためになにか一つできることをしようという「+1運動」を提唱、基幹的なプロジェクトとして、①世界と日本をつなぐソーラーランタンプロジェクト、②周囲の山村と都市をつなぐ+1の森プロジェクト、③被災地と非被災地をつなぐ+1 ANIMO Projectが、2011年の東日本大震災以後継続して進められている。
お金や物に代わる「G軸」(ガイア軸)のもとに、誰もが参加できるプラットフォーム作りを先駆的に推進してきた同氏の活動は、今に生きる世代に希望と勇気を与えるだけでなく、未来世代からも高く評価されるものとして、社会から広く賛同、称賛を得ている。
以上のように、同氏の社会的業績を鑑みても、さらには人格、識見とも優れており、アカデミア賞社会部門を授与するに相応しいと人物と認めた。
※ガイア理論とは、地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げていることを、ある種の「巨大な生命体」と見なす仮説。
【国際部門】
氏 名:中根 史郎氏
現 職:(株)中根庭園研究所代表取締役所長、東京農業大学客員教授他
授賞理由:同氏は、父故中根金作氏(1982 年 アカデミア賞受賞) の指導のもと、伝統的手法に則った京の名庭修復・復元の場で研鑚を積み、茶道家元等における京の茶庭文化と芸術の専門領域から、家元の格式にならった伝統的技法を確立する一方、世界各国において長年にわたり日本庭園の作庭・修景の計画・立案に携わり、作庭を通じて日本の伝統美を伝授し、国際的な作庭家として名を馳せている。
また、大学教育機関を中心とした後進の指導を通じて日本の伝統美を継承する役割を担うとともに、ジェトロ(日本貿易振興財団)はじめ海外の日本文化の研究機関(大学)等の依頼により、数多くの留学生を受け入れ、日本庭園作庭の指導にも携わっている。
これらの業績は海外でも髙く評価されており、日本の伝統技能を後世に受け継ぐとともに、海外に於ける日本文化の伝承者としてその責務を担う、我が国おける数少ない作庭家のひとりである。
以上のように、同氏の顕著な業績と高い人格、識見を鑑みて、アカデミア賞国際部門を授与するに相応しい人物と認めた。